Star Tales星の物語
ペンネーム:ヨーコ・M
おいしい流れ星
空のかなたに古い流れ星工場があるのを知っている人は少ない。工場主は流れ星をつくっている。星型の、ハート型の、ダンゴ型の、猫型の、さまざまな形の流れ星を。そして悲しみにくれている人に届けているのだ。流れ星は宇宙を流れながらこんがりと焼かれてゆく。ちょうどよく焼かれたころ、宇宙は甘いにおいに満たされる。
ところが、工場主はすっかり老いて、製造機械もすっかり老朽化している。もう何億年たったのだろう。このごろは放出する方向にも、届けたい人への距離の計測にもわずかな誤差が生じはじめている。したがってたくさんの流れ星は灰となって消えてゆき、時々地球にぶつかって人をおどろかせたりする。
さて、首尾よくこんがりと美しくできあがった流れ星は、深夜さびしくて眠れない人の窓辺にそっと届く。
運のいい夜には、甘くおいしい香りもともに……
